約100種類、100兆個も大腸に
ストレス、抗生物質の影響も
強いストレスを感じると 胃酸の分泌が悪くなり食欲がなくなる。
すると小腸の蠕動運動が止まり 悪玉菌がふえやすくなる。
ストレスによって免疫力が落ちるといわれているが悪玉菌が増えるとやはり免疫を低下させる動きをする。
「生まれた直後の乳幼児の腸内はビフィズス菌が約95%を占めていますが 離乳後には10%くらいになり成人とほぼ同じになります(図)しかし老年期になると1%くらいに減り悪玉菌の方が多くなります。悪玉菌が多くなると 糞便やガスのにおいが強くなり老化を進行させることになります。ストレスを受けると腸内の様子は老年期とよく似た状態になり免疫力が低下して病気になりやすくなります」
抗生物質の服用でも腸内の様子は一変する。病原菌だけでなく腸内細菌の一部も死んでしまうのである。極端な場合は健康体では増殖が抑えられていたブドウ球菌や緑膿菌が増殖し始めるという菌交代症が起こる。
その結果体の防御力が弱っていることも重なり発熱おう吐、腹痛下痢 ビタミン欠乏などを引き起こす。
10年後の健康管理は今から
腸内細菌の総量は決まっているしたがって、悪玉菌を減らすには善玉菌を増やせばよい。善玉菌を増やすには食事で腸内の環境を整えたり 善玉菌を口から補給する方法がある。
環境を整える食物としては穀類、野菜、海草、果物、豆類、キノコなどの食物繊維を多く含む食品やオリゴ糖を含む玉ねぎ、ゴボウ、アスパラガス、いも類がある。また牛乳は5%近い乳糖を含み、栄養価も高い。
「一日当たり、ヨーグルトと牛乳を合わせて500?600gくらいは摂取したい。ヨーグルトの中には乳酸菌が繁殖しており、その菌体成分が免疫機能を高めてくれます。また、血中コレステロールを下げる働きがあるともいわれています。
ビフィズス菌は酸素、水酸に弱いので胃を通過する時にほとんど死滅してしまいます。生きたまま腸に送るためには、顆粒(かりゅう)状のビフィズス菌を空腹時に牛乳と一緒に飲むのが効果的。また、抗生物質を飲む時にビフィズス菌を一緒に摂取すると菌交代症が起こりにくいといわれています」
善玉菌と悪玉菌のどちらが腸内で多いかは、糞便で予想がつく。悪玉菌が多いと、色が黒く、粘り気があったり、コロコロしていて悪臭がある。黄色っぽくて、臭いがなく適度硬さでバナナ状の形をしているとビフィズス菌が多いといえる。
「食事のたびに、あまり神経質になるのも良くありません。肉が多いと思った翌日に、野菜をたくさん食べるといったように、一週間を単位としてカロリー、塩分、繊維質などをどう取るか食事の内容を考えれば良いと思います。その際に、ビタミンやミネラル類についてもチェックすればより効果的です。
食事は、生きていくための基本です。毎日のふん便で腸内の様子を確認しながら健康で長寿の人生を築いていたいものです」
善玉菌の効果は、十年か二十年後に現れるという。
成人病を起こす年齢になってからでも遅くはないが、若々しく健康な時からのライフスタイル、バランスのとれた食生活こそ、健康維持に大きな影響を持っているといえよう。
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